顔面神経麻痺

脳から出る12神経のうち7番目の神経が「顔面神経」と呼ばれます。
 
顔面神経は顔の筋肉である表情筋を支配しており、舌の前3分の2の味覚・唾液の分泌に関与します。
 
顔面神経麻痺は顔面神経が何かしらの原因で圧迫・障害され、運動障害や感覚障害を引き起こすものを言います。
 
分類は下記のとおりです。
  • ベル麻痺:70%
  • ハント症候群:20%
  • その他(中枢性):10%
万が一、脳の腫瘍や血管によって顔面神経に障害をきたしている場合は、脳卒中や脳梗塞のリスクを伴いますので、外科的な手術や処置が必要となります。
 
しかし、顔面神経麻痺の中でも特発性抹消性顔面神経麻痺(ベル麻痺)が全体の約7割程度と言われており、次に多いものがハント症候群です。
 
これらは脳(中枢)に問題があるわけではなく、脳からでた抹消神経が障害される顔面神経麻痺となります。
 
西洋医学では抹消性顔面神経麻痺の原因はヘルペスウイルス等によるウイルス説が提唱されておりますが、未だに科学では明らかになっておりません。
 
一方、東洋医学では顔面神経麻痺の原因は明らかとなっており、抹消性顔面神経麻痺に対してアプローチすることが可能となります
 
そこで今回は東洋医学の観点から「顔面神経麻痺の原因と改善法」をお伝えできればと思いますので、ぜひお悩みの方は参考にされて下さい。
 
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【東洋医学的】顔面神経麻痺の原因

五行

東洋医学の古典(諸病源候論)には、足陽明胃経・手太陽小腸経・手の陽明大腸経という経絡に「外邪」が侵入することで顔面神経麻痺を引き起こすと書かれています。
 
「外邪?何それ?」と疑問を抱く方も多いことでしょう。
 
この外邪とは「風、湿気、熱、乾燥した空気、寒気」などの外気の変化を指しており、これらが身体の中に侵入すると、筋のひきつりや神経に悪さをするものと考えます。
 
例えば、風邪という字にも「邪」という文字が使われているように、昔は外から侵入する悪いもの(ウイルスや細菌などを含む)を総称して「邪」という呼び方をしていました。
 
そのため、東洋医学の観点では顔面神経麻痺もこのような「外邪」が悪さをしていると考え、身体全体の状態を見ながら施術を行っていきます。
 

鍼灸でアプローチする経絡(ツボ)

東洋医学では経絡(ツボとツボを結ぶライン)に沿って気血が流れると考えます。
 
気血とは内臓を動かす「エネルギー」顔面に栄養を与える「血液」のことを指しており、この気血が経絡を滞りなく巡っている状態が健康体ということです。
 
外邪はこの経絡内に侵入し、気血の運行を妨げるものとなります。
 
そのため、伝統的な鍼灸施術では経絡(ツボ)を刺激することで体内に侵入した外邪を取り除き、滞った気血の流れを改善することができます。
 
アプローチする経絡は以下のとおりです。
  1. 足陽明胃経
  2. 手太陽小腸経
  3. 手の陽明大腸経
それぞれの経絡(流れ)をお伝えしていきます。
 
①胃経
○流れ
鼻根(目の下)→歯→口唇→欠盆→乳中→お腹→気衝→腿→足三里→第二趾
 
胃の経絡は額~足先まで伸びている経絡(主に前面)で肺、胃、脾臓、腸とつながりがあります。
 
②小腸経
○流れ
小指→前腕→上腕→肩関節→胸鎖乳突筋→頬→鼻→目→耳
 
小腸経の枝は心臓・胃・小腸につながり、首や肩・顔面(側面)の疾患に影響すると言われています。
 
③大腸経
○流れ
第2指→腕→肩の先→首→顔面→歯→鼻
 
大腸経は五臓の「肺」と密接な関係があります。特に大腸経のライン(腕~顔面)に沿った痛みや腫れに対して治療をしていくことが多いです。
 

当院で行う鍼灸施術

日本で行われている鍼灸は以下の2つに分類されます。

  • 局所をみる西洋医学的な鍼灸
  • 五臓六腑をみる東洋医学的な鍼灸

顔面神経麻痺の改善には後者の「五臓六腑をみる東洋医学的な鍼灸」でないと改善することは難しいと言えるでしょう。

その理由は、局所(顔面)だけにアプローチしても外邪を取り除くことはできないからです。

東洋医学的な鍼灸は五臓六腑の状態を把握し、経絡(ツボ)を用いて外邪を取り除くことができる伝統的な鍼灸施術です。

クボ鍼灸院は開業当初から伝統的な鍼灸施術を行っている鍼灸院となります。

もしあなたがどこに行っても改善しない顔面神経麻痺でお困りなら、ぜひ1度当院にご相談ください。