潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性疾患の一つです。
難病医学研究財団によると、国内の潰瘍性大腸炎の患者数は約166,060人(平成25年)にのぼり、指定難病の一つに分類されます。
科学的には潰瘍性大腸炎の原因は未だに解明されておらず、食生活の乱れ、免疫機能の異常、腸内細菌が関与していると言われおり、薬物療法がメインとなります。
しかし、いくら薬で炎症を鎮めたり痛みを抑えたとしても、根本的な原因に対してアプローチができていないため、薬が切れるとすぐに激痛が走ってしまいます。
一方、東洋医学では潰瘍性大腸炎になる方の特徴がはっきりしており、体質別に施術を行えば改善する方も多くいらっしゃいます。
そこで今回は「東洋医学からみる潰瘍性大腸炎の原因と鍼灸治療」をお伝えしていきますので、潰瘍性大腸炎でお困りの方はぜひ最後までご覧ください。
▼動画版はこちら
潰瘍性大腸炎の原因と改善法
東洋医学は内臓の機能や働きを「五臓六腑」に分類をし、そのバランスを見ていく医学となります。
この五臓六腑のバランスが崩れると、体を構成する「気血水」の巡りが悪くなり病を引き起こすと考えます。
潰瘍性大腸炎の場合も大腸だけの状態をみるのではなく、カラダ全体(五臓六腑や気血水の状態)をみていくことが大切です。
これらの状態を見た時に、潰瘍性大腸炎になりやすいタイプは以下の3つが挙げられます。
- 湿熱型:大腸に熱がこもる
- 脾虚型:胃腸の機能が低下する
- 陰虚型:体を潤す力がない
それぞれの特徴を解説します。
①湿熱型
湿熱型は大腸に熱がこもるタイプを指します。
特徴としては脂っこい物、甘いもの、アルコールの大量摂取により、大腸に熱が発生し粘膜の損傷を引き起こすことが多いです。
その結果、「肛門の灼熱感、強い腹痛、臭い下痢、尿が赤くなる」などの症状をきたし、1日に何回もトイレに行くといった状態となります。
このタイプの方は大腸の熱を冷まし、炎症を落ち着かせることが重要です。
鍼灸治療では大腸経・肺経という経絡を用いて、大腸の熱を取り除きながら状態を整えていきます。
古典医学をベースとした鍼灸では、経絡(ツボ)を刺激することで五臓六腑の状態を整え、要らないもの(熱や湿気など)を取り除く施術を行います。
これは現代医学でいう「体性-内臓反射」と似ている理論で、身体の体表面(ツボ)を刺激することで内臓に働きかける反射を利用したものと思っていただければと思います。
②脾虚型
脾虚とは胃腸(消化器系)が弱い体質を指します。
胃腸は飲食物から取り入れたエネルギーを全身に運ぶ役割(運化作用)があります。
しかし、冷たい物の摂りすぎや胃腸の冷えが原因で運化作用が失調すると、胃内停水(胃の中に余分な水が溜まる)、食欲不振、水様性の下痢が起こります。
大腸も消化器系の1つと考えたときに、五臓の「脾」の機能が弱ると潰瘍性大腸炎になりやすい体質と言えるわけです。
脾虚の場合は、中脘穴や脾胃のツボ(足三里、豊隆、陰陵泉、太白、三陰交)を用いて「脾」の機能を正常にすることを行います。
③陰虚型
陰虚型は身体を潤す力が低下し、結果的に大腸に熱がこもってしまうタイプです。
主な原因は下記のことが挙げられます。
- 食生活の乱れ
- 下痢で必要以上に水分が排泄される
- 五臓六腑の「腎」の機能が衰え、身体を潤す力が低下する
五臓六腑の「腎(膀胱)」は水分代謝と関与しており、身体の熱を冷ます働きを担います。
加齢とともに「腎」の機能は低下すると言われており、特に40代以降は身体を潤す力がなくなる方も多いです。
また陰虚体質の方は、辛いもの、脂っこいもの、味の濃いものを好む傾向にあり、身体に余分な熱をためてしまうケースもあります。
陰虚タイプの鍼灸治療では、腎経の太渓・腎兪、大腸経の合谷・大腸兪、関元・三陰交などのツボを用いて施術を行っていきます。
まとめ
今回は東洋医学の観点から「潰瘍性大腸炎の原因と鍼灸治療」についてお伝えをしてきました。
繰り返しになりますが、潰瘍性大腸炎の原因は下記の3つです。
- 湿熱型:大腸に熱がこもる
- 脾虚型:胃腸の機能が低下する
- 陰虚型:体を潤す力がない
これらは五臓六腑の状態が関わっているため、患者様の状態に合わせた鍼灸治療が必要となります。
また、いずれにしても潰瘍性大腸炎を改善するためには「食生活」の見直しが大切です。
特に辛いもの、甘いもの、脂っこいもの、味の濃いものは控えるようにしましょう。
最後になりますが、当院では鍼灸治療だけでなく体質別の養生集(冊子)をプレゼントしており、食生活のアドバイスもしております。
病院で潰瘍性大腸炎と診断されたとしても、一時的に痛みや炎症を抑えるだけで根本改善には至りません。
もしあなたが潰瘍性大腸炎でお困りなら、体質改善をすることを強くお勧めいたします。
▼患者様の声

