自律神経失調症

自律神経失調症とは交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、 動悸・息切れ・めまい・耳鳴り・不眠・ 無気力といった症状がでてくるものを言います。
基本的には不定愁訴といって、 病院で検査などをしても原因がよくわからないという場合に、自律神経失調症と診断されることが多い。
科学的根拠を軸とする西洋医学的な病院では、 検査などをして数値に異常がない場合には治療手段がありません。
そのため、ドクターからは「 自律神経が乱れてるから日常生活を見直しなさい」「 とりあえず精神を落ち着かせる薬を出しときますね~」 みたいことを言われ、片付けられてしまうことケースが多いです。
ただ、ここでよく考えていただきたいのは「 なぜ自律神経が乱れているのか」ということです。
東洋医学というのは「病気」ではなく「病人」 をみていく医学なので、なぜ自律神経が乱れているかという根本的な原因を探ることをしていきます。
そこで今回は漢方的に「 自律神経が乱れる原因と鍼灸治療」についてお伝えをしていきます。
ぜひ自律神経失調症でお困りの方は、 改善するヒントにされてください。
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そもそも自律神経とは?
自律神経とは我々の意志とは関係なく、 内臓を動かしてくれる神経のこと。
車でいうところのアクセルが交感神経、 ブレーキが副交感神経となります
交感神経が働くと覚醒モードの状態となり、血管が収縮、心拍数の増加、 血圧が上昇します。
一方で、副交感神経が働くと、 心拍数が減少、血圧が下降、リラックスモードの状態となります。
両者はどちらかだけでは機能せず、 互いに拮抗し合ってバランスをとりながら我々の身体を調整してくれています。
自律神経失調症の原因
東洋医学では自律神経が乱れる原因を下記の2つに分類します。
- 気滞(きたい)
- 瘀血(おけつ)
専門用語なので、それぞれ解説していきます。
①気滞
気滞とは気の巡りが悪い状態のこと。
「気って何?」という方のために簡単にお伝えをすると、気というのは我々の身体を動かすエネルギーのことを指します。
例えば、空気(酸素) などのエネルギー、飲食物から得るエネルギー、太陽光などの熱や光エネルギーなど。
この気(エネルギー)があることによって、 我々は寝ている間にも内臓を動かせますし、 自律神経を働かせることができるわけです。
そして、気滞になると下記の症状なども現れます。
- オナラやゲップを出したくなる
- 常にイライラしている
- 下痢や便秘を繰り返す
- PMSの症状がひどい
- ストレスに弱く体調を崩しやすい
- 喉がつまりや違和感
- お腹、胸、脇が張ったような痛み
上記の項目に数多く当てはまるのであれば、 あなたは気滞による自律神経の乱れがおきているとうことです。
②瘀血
瘀血とは血行不良が起きている状態のこと。
自律神経が管轄している内臓は、血液によって栄養され動かすことが できます。
そのため、血が足りないもしくは血行不良によって血がしっかり循環していないと、 内臓の働きも悪くなり、 結果的に自律神経系にも大きな影響を与えてしまいます。
先ほどお伝えした「気」と同じように、「血」もしっかり巡っていないと自律神経を乱れさせる要因となるわけです。
そして、瘀血になると下記の症状なども現れます。
- 肩こりがひどい
- 頭痛を頻繁に起こす
- 生理痛が重い
- 月経異常がある
- 顔色の血色が悪い
- 爪が脆くなりやすい
- 髪がパサパサしている
- 眼精疲労によくなる
- めまいや立ちくらみ
- 眠りが浅い
上記の項目に数多く当てはまるのであれば、 あなたは気滞による自律神経の乱れがおきていることになります。
東洋医学的な鍼灸治療について
鍼灸治療はツボ・経絡を刺激しながら、気の巡りを良くしたり、 血行不良を改善していくことをしていきます。
治療方法としては、気血を動かす臓腑は「 肺」と「肝」となるので、肺経、肝経という経絡を使っていきます。

肺は呼吸器系全般のことを指し、空気などのエネルギーを吸って全身 に行き渡らせる役割、 肝は抹消循環系のことを指し、全身に血を循環させる役割があります。
五臓六腑や経絡という概念を初めて聞く方も多いと思いますが、東洋医学というのは身体をみる視点が西洋医学とは異な っていて、上記の画像にあるように同じような働きを機能をもつ器官を5つのグループに分けて治療を行います。

伝統的な鍼灸治療は「臓腑経絡論」という理論をベースに、ツボを刺激し五臓六腑を調整して、気血の巡りを良くすることができます。
最後に
今日は自律神経失調症の原因と鍼灸治療をお伝えしました。
何度も繰り返しになってしまうのですが、 自律神経の乱れが起こるの原因は必ずあります。
病院などで検査をして数値に異常がない・原因がよくわからないと言われた場合は、 東洋医学的な治療法が非常に効果を発揮するので、ぜひ選択肢のひとつに 入れていただければと思います。

最後になりますが、当院では体質別の養生冊子をお渡してご自宅でもできるセルフケアをお伝えしております。
また、漢方専門の薬剤師と連携をはかりながら、漢方薬を併用して治療をすることも可能です 。
長い間、自律神経失調症でお困りの方は、お気軽にご相談くださいませ。