【鍼灸師が解説】顔面神経麻痺に効果的なツボ5選|東洋医学における鍼治療とツボ刺激の注意点

  • 「鏡を見るたびに不安になる」
  • 「いつまでこの状態が続くんだろう」
  • 「自己流でケアしても大丈夫だろうか?」

顔面神経麻痺を発症されたとき、ほとんどの方が言葉にできないほどの不安と焦燥感に襲われると思います。

そんな時に、自宅でできるセルフケアがあると安心ですよね。

当院でも、顔面神経麻痺の鍼治療を行なう中で、患者さんに自宅でできるツボのセルフケアをお伝えしています。

この記事では、実際に当院が指導している顔面神経麻痺の改善に効果が期待できる代表的なツボ(完骨・風池・天柱・合谷・足三里)と刺激の注意点、東洋医学における経絡(ツボ)の具体的なアプローチ法を解説します。

顔面の神経や筋肉だけでなく、「経絡(けいらく)」と呼ばれる全身のエネルギーの流れを整えることで、神経伝達や血流を促進し、自然治癒力を高めていきますので、ぜひ参考にされてください。

顔面神経麻痺と関係する経絡

顔には主に以下の経絡が走行しています。

それぞれが異なる臓腑とつながり、表情筋や感覚にも影響を与えています。

  • 足陽明胃経:頬〜口周囲を通る。表情筋や口角の動きに関係
  • 手陽明大腸経:口・鼻・目の周囲を通り、顔全体の感覚を支える
  • 足少陽胆経:側頭部〜こめかみ〜頬へと流れ、目や耳周囲の動きに関与
  • 三焦経・小腸経:耳・顎関節・側頭部の循環に関係

顔面神経麻痺の鍼治療では、これらの経絡の滞りを整えることが非常に重要です。

顔面神経麻痺に関係するツボと刺激方法

①完骨(かんこつ)

耳の後ろ、乳様突起の下にあるツボ。

顔面神経が出る部位の近くにあり、神経の炎症・浮腫を鎮める働きがあります。

発症初期〜回復期まで幅広く使われる重要なツボです。

②風池(ふうち)

首の後ろ、後頭部の付け根にあるツボ。

自律神経と血流を整え、頭部全体の循環を改善します。

顔面麻痺に伴う「後頭部の重だるさ」や「めまい」にも有効です。

③天柱(てんちゅう)

風池と使うことが多い。首の後ろ、後頭部の付け根にあるツボ。

血流を整え、首肩周りの筋肉にアプローチできる。

④合谷(ごうこく)

手の甲の親指と人差し指の間。

「顔面の万能ツボ」と呼ばれ、顔面の気血をめぐらせる代表穴です。

顔のこわばり、しびれ、目や口の動きの改善に役立ちます。

⑤足三里(あしさんり)

膝下の外側。膝下の凹みから指4本分下にあるツボ

顔面に走る胃経上に位置し、全身の気血を補う“元気のツボ”と呼ばれる。

顔の治療でも、体全体のエネルギーを支えるために欠かせません。

ツボの刺激方法と注意点

当院がおすすめする刺激方法はホットタオルとお灸で温めることです。

顔面神経麻痺は刺激過多に注意しなければなりません。

なぜなら、顔面神経麻痺の回復期や症状が安定しない時期に強い刺激(マッサージや過度な指圧)を与えすぎると、神経を過剰に興奮させてしまうからです。

これは、回復の過程で症状が固定化したり、将来的に顔の引きつりやピクつき(病的共同運動)といった後遺症を引き起こすリスクを高めます。

鍼治療においても、刺激量を最小限にし、麻痺した筋肉を無理に動かそうとせず、神経が本来持つ自己回復力を優しくサポートすることが非常に重要です。

ホットタオルの作り方

①フェイスタオル小を水で濡らす

②絞る

③500w1分で温める

④広げてたたんで完成

温めることで、首周りの緊張が和らぎ、顔面へ向かう血流が改善します。

これは、損傷した神経への酸素や栄養の供給を助け、回復をサポートします。

ホットタオルを麻痺していない側も含めて顔全体や耳の下、首筋に数分間優しく当ててください。冷たくなったら終わりにして、朝晩2回は行いましょう。

セルフ灸のやり方

合谷と足三里はお灸がおすすめです。

セルフ灸を下記動画を参考に1日1個ずつ取り入れてみてください。

当院における顔面神経麻痺の鍼治療

1.現代医学的アプローチ:局所の回復を促す

鍼刺激は、麻痺した顔の神経と筋肉の回復を物理的にサポートします。

  • 血流改善: 損傷した神経周辺の血流を良くし、神経細胞に必要な酸素や栄養の供給を増やします。
  • 筋肉の賦活: 麻痺した表情筋に刺激を与えることで、筋肉が衰えるのを防ぎ、神経が回復した際の動き出しをスムーズにします。刺激量の調整と麻痺の範囲で手技を変更。

  • 後遺症予防: 治りかけの顔の引きつり(過緊張)を予防・緩和し、顔全体のバランスを整えます。

2.東洋医学的アプローチ:体質から根本を整える

東洋医学では、顔面麻痺を単なる局所の問題ではなく、全身の気の流れ(経絡)の滞りが原因と考え、根本から改善します。

  • 経絡の調整: 顔には、胃経(口周り)、大腸経(鼻・目周り)、胆経(側頭部)など、複数の重要なエネルギーライン(経絡)が通っています。これらの流れが滞ると麻痺や歪みにつながります。

  • 根本原因の排除: 手足にある対応するツボ(経穴)も用いて、冷えやストレスといった神経の回復を妨げる体内の原因(東洋医学でいう「風熱」など)を体外へ導き出します。

  • 全身の安定化: 自律神経のバランスを整えることで、自然治癒力を高め、神経が回復しやすい体質へと導きます。

当院では、この二つの視点から、発症時期や症状の段階に合わせた最適なオーダーメイド治療を行います。

まとめ:顔の神経を「巡り」で整える

顔面神経麻痺の改善には、

  • 神経と筋肉への直接アプローチ
  • 顔面経絡の巡りを整える
  • 全身の気血バランスを回復させる(五臓六腑)

この3つの柱が大切です。

当院では、体質や発症時期に合わせたオーダーメイド施術で、顔の動き・左右差・後遺症の改善をサポートしています。

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