【鍼灸師監修】痔に効くツボ3選|痛みを和らげるセルフ灸ガイド

  • お尻に常に違和感や、突き上げるような鈍痛がある。
  • 椅子に座るのが辛く、歩くたびに擦れるような不快感がある。
  • 排便のたびに出血や痛みがあり、トイレに行くのが怖くなってしまう。

そんな、誰にも相談しにくい不快な「痔」でお悩みではありませんか?

薬を塗ってもなかなかスッキリしない、あるいは再発を繰り返してしまう場合、その原因はお尻の出口だけの問題ではなく、胃腸の弱りによる内臓を支える力の低下や、血流の滞り(瘀血)、あるいは下半身の冷えにあるかもしれません。

今回は、鍼灸師が臨床で用いている痔の症状を和らげる3つのツボと、自宅で簡単にできるセルフケアをまとめました。

ぜひ今日から試してみてください。

東洋医学からみる「痔」の原因

東洋医学では、痔の原因を主に3つの側面から捉えます。

  1. 気虚(ききょ):内臓を持ち上げるエネルギーが不足し、肛門付近に負担がかかっている状態(脱肛・いぼ痔)。

  2. 瘀血(おけつ):血流が滞り、お尻周りにうっ血が生じて痛みや腫れが出ている状態。

  3. 湿熱(しつねつ):暴飲暴食やストレスで体に余分な熱と水分が溜まり、胃腸に負担がかかって炎症を起こしている状態。

大切なのは、患部を刺激することではありません。

胃腸を整えて「気」を補い、下半身の血流をスムーズにすることで、体の中から「うっ血」を取り除いていくことです。

今回紹介するツボは、お尻周りの血流を改善し、内臓のポジションを整える助けをしてくれます。

痔に効くツボ3選

① 百会(ひゃくえ)

場所:頭のてっぺん。左右の耳の最高部を結んだ線と、顔の中心線が交わるところ。

作用:全身の「気」を持ち上げる(昇挙作用)。脱肛やいぼ痔など、下に垂れ下がっている組織を元の位置に引き戻す力をサポートします。

刺激方法:棒灸セット(せんねん灸 琵琶湖A型)で温める。

② 三陰交(さんいんこう)

場所:足の内くるぶし、一番高いところから指幅4本分上がったところ。骨のキワ。

作用:血液の巡りを整え、うっ血(瘀血)を解消する重要なツボです。下半身の冷えも取り、お尻周りの血流をスムーズにすることで、腫れや痛みを和らげます。

刺激方法:お灸で温めるのが非常に効果的です。

③ 天枢(てんすう)

場所:おへその真横、指幅3本分外側。

作用:胃腸の働きを直接整えるツボです。便通をスムーズにすることで「いきみ」を減らし、肛門への負担を根本から軽減します。

刺激方法:お灸もしくは小豆カイロを左右1日5分当てる

痔を和らげるセルフ灸ガイド

①用意するもの

市販のお灸(台座灸・せんねん灸など初心者向けがおすすめ)
ライター or チャッカマン
灰皿または耐熱皿
タオル、水(熱を感じすぎた時のため)、保冷剤でもOK

②お灸をする前のポイント

施術前に 軽く膝周りをさする(血流が上がり、熱が通りやすくなる)
食後30分は避ける
できれば 毎日同じ時間帯 に行うと効果が出やすい
同じツボに1壮/日までが基本

③お灸の手順

手順①:ツボを軽く押して確認
「ズーン」と響くポイントが適切。

手順②:お灸をセット
→台座灸の底部シールを剥がし、ツボに貼る。

手順③:火をつける
→先端に火をつけ、煙が安定したら深呼吸。

手順④:温かさがじんわり広がるのを感じる
熱すぎたらやめてOK。無理はしない。

手順⑤:燃え尽きたら外し、軽く押さえる
→手のひらで3秒ほど温めて蓋をするイメージ。

※1分でわかるセルフ灸のやり方(手順)を参考に

最後に:痔は放置せず「早めのケア」を

痔は「恥ずかしいから」「まだ我慢できるから」と放置してしまうと、痛みをかばうことで骨盤周りの筋肉が固まり、血流がさらに悪化するという悪循環に陥りやすい症状です。

そのままにしていると、症状が進行して日常生活に大きな支障をきたし、最終的には手術を検討しなければならない可能性も出てきます。

しかし、痔は決して我慢して付き合うしかないものではありません。 実は、鍼灸治療には「痔の適応症」があり、特に以下のようなケースで力を発揮します。

  • 薬を塗っても何度も繰り返してしまう
  • 手術をするほどではないが、常に違和感があってスッキリしない
  • 疲れがたまると決まってお尻の調子が悪くなる

これらは、お尻という「部分」だけでなく、「血流を整え、内臓(気)を持ち上げる力を養う」という体質からのアプローチで十分にコントロールできる症状です。

中々良くならない場合は、どうか一人で抱え込まず、早めに病院や専門家へ相談してください。