まぶたが重い・上がりにくい眼瞼下垂のツボ|手術の前に見直したい東洋医学の鍼灸アプローチ

「最近、目が小さくなった気がする……」 鏡を見るたびにそう感じながらも、「もう年だから」「手術しかないのかも」と諦めていませんか?
実は、あなたが今感じている「まぶたの重さ」は、単なる筋肉の衰えだけではありません。
必死におでこにシワを寄せて目を開け、その代償として「抜けない肩こり」や「重い頭痛」に悩まされているなら、それは体全体の『持ち上げる力(エネルギー)』が失速しているサインです。

眼科で「眼瞼下垂」と診断されると、解決策は手術一択になりがちですが、東洋医学の視点で見れば、まぶたは全身のコンディションを映し出す鏡と考えます。
- なぜ、まぶたが下がってしまうのか?
- なぜ、夕方になると特に重くなるのか?
その根本原因は、実は目元ではなく、あなたの胃腸の疲れや首肩の緊張、そして頭皮の硬さに隠れています。
手術を検討する前に知っておきたい、東洋医学による『まぶたを土台から持ち上げる』ためのアプローチ方法をご紹介します。
西洋医学から見た「眼瞼下垂」の3つの主な原因

現代医学では、まぶたを引き上げる「構造(パーツ)」のどこに不具合が出ているかに注目します。
①腱膜(けんまく)の緩み
まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)と、まぶたの縁(瞼板)を繋いでいる「膜」が、ゴムのように伸びたり、外れたりしてしまう状態です。
加齢だけでなく、長年のコンタクトレンズ使用や、目をこする癖が原因となる「物理的な故障」です。
②神経・筋肉の伝達ミス
筋肉そのものや、筋肉を動かす指令を出す神経(動眼神経など)にトラブルが起き、スイッチが入らなくなるケースです。
片目だけ急に下がった場合などは、脳の血管の問題が隠れていることもあるため注意が必要です。
③皮膚のたるみ(偽性下垂)
まぶたを持ち上げる力は維持されているものの、まぶたの皮膚そのものが余って垂れ下がり、視界を塞いでしまう状態です。
東洋医学が教える「内臓とまぶた」の意外な関係

① 筋肉のハリを作る「脾主肌肉(ひしゅきにく)」
東洋医学では、胃腸を中心とした消化吸収システムを「脾(ひ)」と呼び、「脾は肌肉(きにく)を主(つかさど)る」という原則があります。
栄養のデリバリー不足
まぶたを引き上げる筋肉(上眼瞼挙筋)は非常に薄くデリケートです。
胃腸が弱って栄養の吸収力が落ちると、真っ先にこの薄い筋肉の「弾力」が失われます。
まぶたが痩せる
燃料(栄養)が届かない筋肉は、ゴムが伸び切ったように緩んでしまいます。
まぶたが薄く、落ち窪んで下がっている方は、まさにこの「肌肉の栄養不足」の状態です。
② 重力に抗う「中気下陥(ちゅうきかかん)」
私たちの内臓や皮膚が地面に落ちずにいられるのは、体の中に「上へ上へ」と押し上げるエネルギー、「昇提(しょうてい)作用」があるからです。
エネルギーの失速
疲れが溜まり、この押し上げる力(気)が底をつくと、重力に勝てなくなります。
これを「中気下陥(ちゅうきかかん)」と呼びます。
全身の「下がり」のサイン
まぶたが下がるだけでなく、「夕方になると特に目が開けにくい」といった症状がある場合、体全体の「持ち上げるスイッチ」がオフになっています。
まぶたは、体全体のエネルギー低下を最も早く知らせてくれるアラートなのです。
まぶたを下げている「物理的ブレーキ」の正体

「まぶたそのもの」に原因があると思われがちですが、実は周辺組織による「下方向への引っ張り」が大きな障壁となっています。
①胸鎖乳突筋の拘縮
耳の後ろから鎖骨へと伸びるこの大きな筋肉は、姿勢の崩れ(巻き肩やストレートネック)で真っ先に短縮します。
ここが硬くなると、頬や目元の皮膚を網状に覆っている「広頸筋(こうけいきん)」や筋膜を介して、顔全体をグイグイと下方向へ引き下げます。
いわば、まぶたに常に「重り」がついている状態です。
②頭皮の癒着と帽状腱膜
まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)は、おでこの筋肉を経由して、頭のてっぺんにある「帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)」という硬い膜に繋がっています。
ストレスや集中による緊張で頭皮がヘルメットのように張り付くと、この膜の遊び(余裕)がなくなり、まぶたを引き上げるための「ロープ」がロックされてしまいます。
まぶたを持ち上げる「三位一体」の特効穴(ツボ)
局所(目元)、中継点(首・顔)、土台(全身)の3方向からアプローチし、効率よくまぶたの機能を回復させます。
① 【昇提の司令塔】百会(ひゃくえ)
場所:左右の耳の最高部を結んだ線と、鼻からの正中線が交わる頭の真てっぺん。

メカニズム:頭皮の癒着を剥がし、頭頂部から全身の「気」を磁石のように引き上げる「昇提(しょうてい)」のスイッチです。
刺激方法: 両手の中指を重ね、真下に向かって心地よい強さで3〜5秒押す、もしくは棒灸セット(せんねん灸 琵琶湖A型)で温める。
② 【顔の血流の門番】合谷(ごうこく)
場所:手の親指と人差し指の付け根のV字部分。人差し指側の骨の際。
メカニズム:「顔面、合谷に収まる」と言われ、顔・首・目元の血流を改善する最強のツボです。
特に胸鎖乳突筋の緊張を遠隔で緩める効果があり、まぶたへの「下方向のブレーキ」を外してくれます。
刺激方法:左右1日1個ずつお灸をする。
③ 【筋肉のエネルギー源】『足三里(あしさんり)』
場所:膝のお皿の下、外側のくぼみから指幅4本分下。すねの骨の外側。
メカニズム:「脾胃(胃腸)」を立て直し、まぶたの筋肉を動かすためのガソリン(気血)を生成します。
刺激方法:ここにはお灸が最適です。毎日温めることで筋肉に栄養が行き渡り、夕方になっても「ガス欠」を起こさない、タフなまぶたを作ります。
眼瞼下垂を防ぐためのストレッチと筋トレ
① 首(胸鎖乳突筋・斜角筋群)のストレッチ

- 伸ばしたい側の手(例:左側を伸ばすなら左手)を背中の後ろへ回します。肩がきつい方は少し下でも大丈夫です。
- 逆の手(右手)で鎖骨を軽く下に押さえます。
- そのまま上を向き、反対側の斜め上を見ます。
左側を伸ばしたいなら右斜め上を見ましょう。
首の斜め前あたりがじわっと伸びていればOKです。胸鎖乳突筋と斜角筋の両方にアプローチできます。20秒間キープ。反対側も同様に行います。
痛みがあるときは無理をせず、気持ちよく伸びている感覚を大切にしてください。
② 脾胃を養い土台を鍛える「ヒップリフト」
お腹の底から引き上げる力を養うトレーニングです。
- 仰向けで膝を立て、息を吐きながら肛門・尿道をギュッと締め上げます。 この際、内臓を胃の方へ吸い上げる意識を持つことで「脾胃」が活性化します。
- そのままお尻を浮かせ、肩から膝まで一直線にして3秒キープ。
- 百会(頭頂)から吊るされている意識を持つと、脾胃で作られた気が一本の「軸」となり、まぶたを支える力に変わります。
お尻を持ち上げた状態で数秒キープすることで、骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋群)に刺激を与えます。
東洋医学では、この「筋肉にハリを持たせること」そのものが、脾胃のエネルギーを活性化させることに繋がります。
また、内臓が下へ垂れ下がるのを防ぎ、重力に負けない体を作ります。まぶたを持ち上げる力も、この「お腹の底の踏ん張り」から生まれます。
セルフ灸のやり方(眼瞼下垂)
①用意するもの
市販のお灸(台座灸・せんねん灸など初心者向けがおすすめ)
ライター or チャッカマン
灰皿または耐熱皿
タオル、水(熱を感じすぎた時のため)、保冷剤でもOK
②お灸をする前のポイント
施術前に 軽く膝周りをさする(血流が上がり、熱が通りやすくなる)
食後30分は避ける
できれば 毎日同じ時間帯 に行うと効果が出やすい
同じツボに1壮/日までが基本
③お灸の手順
手順①:ツボを軽く押して確認
→「ズーン」と響くポイントが適切。
手順②:お灸をセット
→台座灸の底部シールを剥がし、ツボに貼る。
手順③:火をつける
→先端に火をつけ、煙が安定したら深呼吸。
手順④:温かさがじんわり広がるのを感じる
→熱すぎたらやめてOK。無理はしない。
手順⑤:燃え尽きたら外し、軽く押さえる
→手のひらで3秒ほど温めて蓋をするイメージ。
最後に:重いのは「まぶた」ではなく「疲労」

眼瞼下垂は、単なる見た目の問題ではなく、あなたの体が「もうエネルギーが限界だよ、ブレーキがかかっているよ」と発しているSOSです。
当院では、首肩の強烈なこわばりを解いて「下への引っ張り」をなくし、同時に「脾胃」を整えて「上への引き上げ力」を復活させる、鍼灸ならではの根本施術を行っています。
手術で物理的に形を整える前に、まずはあなたの体が本来持っている「目を開ける力」を呼び覚ましてみませんか?
パッと視界が広がり、肩の力が抜ける感覚を、ぜひ一度体感してください。




