【妊活中の方必見】押してはいけないツボがある?妊活中の正しいツボ選びのポイント

「妊活のためにツボ押しを始めたけれど、どこを押しても大丈夫?」
「妊娠を希望している時期に、避けたほうがいい場所があると聞いて不安……」

妊活中、特に排卵後から高温期にかけての体は、とてもデリケートな状態です。

実は東洋医学には、気を「下ろす力」や「動かす力」が強く、妊活中の特定の時期には刺激を控えるべきツボが存在します。

当院はこれまで、妊活鍼灸の現場で多くの方のサポートに携わってきました。その豊富な臨床経験から、今回は「なぜそのツボを避けるべきなのか」という理由と、時期に合わせた正しいツボ選びのポイントを詳しく解説します。

妊活中の方はぜひ参考にしてください。

妊活中に押してはいけないツボ

ツボの名前(穴名)には、その場所の性質を表す漢字が使われています。

特に以下の漢字が含まれるツボは、着床時期や妊娠初期には強い刺激を避けるのがプロの視点です。

①「谷(こく)」や「陥(かん)」:気が深く入り、流れ落ちる

代表的なツボ:合谷(ごうこく)、陥谷(かんこく)

山の間を流れる谷川のように、気が激しく入り込み、動く場所を指します。

これらは「降気作用(気を下方向に引き下げる力)」が非常に強く、子宮にエネルギーを留めておきたい時期には、強い刺激は控えたほうが安心です。

②「衝(しょう)」:突き抜ける・激しく動く

代表的なツボ:太衝(たいしょう)、衝陽(しょうよう)

 「衝」は交差点や、激しく突き当たることを意味します。

滞った気を流す力に優れていますが、その「突き抜ける勢い」が、安定させたい受精卵へのエネルギーを外へ逃がしてしまう懸念があります。

③「井(せい)」:湧き出て下るエネルギー

代表的なツボ:肩井(けんせい)、井穴(せいけつ:指先のツボの総称)

理由: 特に肩の真上にある「肩井」は、井戸の底へ石を落とすように、気をストンと真下へ落とす力が非常に強いツボです。

肩こりでつい強く押したくなりますが、あまりに強い刺激は子宮への負担(収縮)に繋がる可能性があるため注意が必要です。

④三陰交(さんいんこう)

「妊活といえば三陰交」と言われるほど有名なツボですが、実は「通経作用(生理を促す力)」も併せ持っています。※特に妊娠初期は刺激を避けた方がいいツボです。

臨床的には、骨盤内の血流をガツンと動かす力が強いため、安定期以降はお灸をすると逆子対策や安産に繋がります。

万が一、妊娠初期に刺激をしてしまったとしても、継続的に強い刺激を与えていなければ問題ありませんのでご安心くださいね。

代わりに選びたい!妊活中のツボと「一源三岐」

妊活鍼灸において、私たちが最も大切にしている概念の一つに「一源三岐(いちげんさんき)」があります。

これは、「胞中(子宮)」という一つの源から、「任脈(にんみゃく)」「督脈(とくみゃく)」「衝脈(しょうみゃく)」という3つの重要なルートが枝分かれしているという考え方です。

ここに「腎」「脾胃」の経絡をプラスすると、授かるために必要なエネルギーを補うことになります。

高温期でも安心して、かつ効果的に取り入れられる「補う」ためのツボをご紹介します。

① 関元(かんげん):任脈

場所: おへそから指4本分下。

役割: 「一源三岐」のルートの一つである「任脈」上にあり、まさに生命力の源である原気が集まる場所です。指圧ではなく、「お灸や腹巻で温める」ことで、子宮をどっしりと安定させる力が生まれます。

② 足三里(あしさんり):脾胃(消化吸収力)を支える

場所:膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみから指幅4本分下がったところ。

役割: 「一源三岐」を支えるエネルギー源、つまり「胃腸(脾胃)」の働きを司るツボです。

ここをケアすることで血液の質が向上し、子宮や卵巣に届けられる栄養を豊かにします。

刺激方法:左右お灸がおすすめ。

③ 大椎(だいつい):督脈を介して全身を温める

場所: 首を前に倒したとき、根元に大きく飛び出す骨のすぐ下のくぼみ。

役割: 背中を通る「督脈」と、全身の陽の経絡が交わる重要なポイントです。

ここを温めることで全身の陽気を高め、冷えを追い払い、着床に理想的な「ポカポカと温かい子宮」の状態を作ります。

④ 次髎(じりょう):衝脈・骨盤内の血流改善

場所: 仙骨(お尻の真ん中の平らな骨)にある上から2番目のくぼみ。八髎穴の一つ。

役割: 骨盤内の血流をダイレクトに促す王道のツボです。「衝脈」とも深く関わり、子宮への血液循環を強力にサポートします。このツボは「ホッカイロでじわ〜っと熱を入れる」のがおすすめです。

⑤ 太渓(たいけい):腎(妊活力)を高める

場所:足の内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。

 

生殖能力の源である「腎」を補う、最も重要なツボの一つです。「太い渓流」という名の通り、腎の気が注ぐ箇所。体を芯から温めてくれるツボ。

刺激方法:特に下半身の冷えが強い方は毎日のお灸がおすすめです。

臨床で大切にしている「時期」の考え方:低温期と高温期の使い分け

妊活中に大切なのは、時期に合わせてツボ選びをするということです。

① 低温期(生理中〜排卵前):血を「作り、巡らせる」時期

この時期のテーマは、新しい卵子を育てるための「良質な血」をたっぷり作り、子宮・卵巣へスムーズに届けることです。

目的:卵胞の発育サポート・子宮内膜の材料作り・血流改善

ポイント:まずは「脾胃(胃腸)」をしっかり整えること。どれだけ良いツボを押しても、原材料となる栄養が吸収されていなければ良質な卵子は育ちません。

おすすめのツボ:足三里(あしさんり)、血海(けっかい)

② 高温期(排卵後〜生理予定日):エネルギーを「蓄え、維持する」時期

受精卵が着床し、子宮内膜で育とうとするこの時期は、何よりも「安定」と「保温」が最優先です。

目的: 着床の維持・子宮の保温・自律神経の安定

ポイント: 強い刺激で動かすことは控え、お灸や腹巻など「温めて補う」ケアに徹します。

おすすめのツボ:太渓(たいけい)、関元(かんげん)

当院の妊活鍼灸で大切にしている「体質改善」

妊活を考える上で、ぜひ知っておいていただきたい大切な考え方があります。

それは、「生殖器系は、生命維持の優先順位としては後回しにされる」ということです。

私たちの体にとって、最も大切なのは「今、この瞬間の自分自身の命を守ること」。もしお母さんやお父さんの体に、慢性的な肩こり、冷え、消化不良、あるいは自律神経の乱れといった不調がある場合、体はそちらの修復にエネルギーを優先的に使ってしまいます。

つまり、自分の体調が整って、エネルギーに余力ができて初めて、体は子孫を残す(生殖)ために十分なパワーを回せるようになるのです。

だからこそ、当院では単に「妊娠に効くツボ」を刺激するだけではなく、お一人おひとりの体質に合わせたステップを大切にしています。

卵巣年齢30代後半と言われた20代女性が、体質改善で妊娠に至った症例

このプロセスを経て「体質」そのものを底上げすること、時期に合わせた妊活のツボを選穴していくことで、結果として授かりやすい体への一番の近道となります。

最後に:妊活中は正しいツボ選びで「心身ともに育む準備」を整えましょう

妊活は、どうしても「何かを足さなければ」「頑張らなければ」と力が入りがちです。

しかし、東洋医学の視点で見れば、まずは母体やお父さんの体が健やかで、エネルギーに満ちていることが、新しい命を育むための絶対条件です。

夫婦でお灸を据え合うのもいいでしょう。今の体の状態を伝え合う時間は、心身を緩ませ「授かりやすい隙(ゆとり)」を作る何よりの薬になります。

あなたの妊活という大切な道のりが、少しでも軽やかで、希望に満ちたものになりますように。

今日からご自身の体を信じて、優しいケアから始めてみてくださいね。