なぜ胸がザワつくのか?東洋医学で紐解く「肩こりと動悸の深い関係」

- 最近、理由もなく胸がザワザワする
- ふとした瞬間に心臓が脈打つ
- 胸が締め付けられるように苦しい
- 不安感が強く動悸がする
更年期を迎え、そんな行き場のない不安を抱えてはいませんか?
実は、そうした動悸に悩む方の多くが、同時に「もう自分ではどうにもできないほどの肩こり」を抱えています。
病院へ行き、心電図や検査を受けても、返ってくるのは「心臓に異常はありません」という言葉。
安心するどころか、「じゃあ、この苦しさは何なの?」とかえって孤独な気持ちになってしまう方も少なくありません。
でも、安心してください。 それは心臓そのものの病気ではなく、ガチガチに固まった肩や首、そして滞ってしまった血液(気血)が、物理的に「胸のゆとり」を奪っているだけなのかもしれません。
この記事では、動悸の器質的な原因と機能的な原因の違いを明確に整理し、検査には異常のない動悸の正体を解説します。
お悩みの方は最後までご覧ください。
動悸の2つの原因:器質的か、機能的か

動悸を感じたとき、まず冷静に区別すべきなのが「原因の在りか」です。
① 器質的な動悸(病院で診るべきもの)
心臓そのものに不整脈や弁膜症、心筋の肥大などの物理的な問題がある場合。
これらは精密検査が必要です。
② 機能的な動悸(鍼灸が最も得意とするもの)
心臓そのものに病変はないものの、肩こりなど緊張によるもの、自律神経の乱れや更年期のホルモン変動によって「働き」が過敏になっている状態。
東洋医学ではこれを、循環力の低下による「心悸(しんき)」と呼びます。
肩こりが動悸を引き起こす「物理的なルート」

なぜ肩が凝ると心臓が騒ぎ出すのか。そこには明確な物理的理由があります。
以下の3つは肩こりが酷くなる原因です。
① 前腕の硬さと猫背の罠
現代人はスマホやPC作業により、「前腕(ぜんわん)」が想像以上に硬くなっています。
この筋肉の緊張は筋膜を伝って肩を前に引き込み(巻き肩)、猫背を固定させます。
すると胸郭(肺と心臓を包むカゴ)が狭まり、心臓は物理的に「圧迫」され、窮屈さから動悸を打つのです。
② 呼吸を浅くする「胸鎖乳突筋」の緊張
首の横にある太い筋肉、「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」。
更年期のストレスや過緊張でここが硬くなると、横隔膜の動きを制限し、呼吸が浅くなります。
浅い呼吸は血液中の酸素不足を招き、心臓が必死に血液を送ろうとフル回転(動悸)することになります。
③ 「瘀血(おけつ)」という血液の泥沼
東洋医学では、滞ったドロドロの血液を「瘀血」と呼びます。
更年期は血流を促すエネルギーが不安定になるため、肩周辺で瘀血が発生しやすくなります。
この「血液の渋滞」を突破しようと心臓が無理なポンプアップを行うことが、動悸の大きな要因となります。
あなたの「滞り」レベルは?サインチェックリスト

自分が「瘀血」や、気の滞りである「気滞(きたい)」の状態にあるかチェックしてみましょう。
- 舌の裏の血管が黒く浮き出ている
- 肩甲骨の間が常に重だるい
- 以前より、溜め息をつく回数が増えた
- 喉に何かが詰まっているような感じ(梅核気)がする
- あざができやすく、なかなか消えない
- 顔色がくすみやすく、目の下にクマができやすい
- 眼精疲労やドライアイがある
- 体がこわばりやすく力が入りやすい
4つ以上チェックがあれば、瘀血による「循環不足」が動悸を招いている可能性大です。
肩こりと動悸に対するツボのアプローチ
三陰交:血の渋滞を散らす土台のツボ(お灸)
更年期の血流トラブルにおいて、絶対に外せないのがこのツボです。
場所:足の内くるぶしの中心から、指幅4本分上。スネの骨のキワにあります。
三陰交は「肝・脾・腎」という血に関わる3つの道が交わる場所です。
ここにお灸を据えることで、下半身の冷えを取り、全身の血の巡りを強力に促進します。
骨盤周りの滞りが解消されると、連動して胸のつかえや肩の緊張がスッと楽になります。
内関:心の焦りを鎮めるツボ(お灸もしくは指圧でもOK)
場所: 手首のしわから指3本分肘側、2本の筋の間。
自律神経のスイッチであり、動悸や胸のつかえをスッと楽にしてくれる「心の関所」です。
ドキドキを感じた時、吐く息に合わせて優しく3〜5秒押し込んでください。
胸鎖乳突筋の緊張や自律神経からくる肩こりのケアは下記の記事を参考にしてください。
セルフ灸のやり方
①用意するもの
市販のお灸(台座灸・せんねん灸など初心者向けがおすすめ)
ライター or チャッカマン
灰皿または耐熱皿
タオル、水(熱を感じすぎた時のため)、保冷剤でもOK
②お灸をする前のポイント
施術前に 軽く膝周りをさする(血流が上がり、熱が通りやすくなる)
食後30分は避ける
できれば 毎日同じ時間帯 に行うと効果が出やすい
同じツボに1壮/日までが基本
③お灸の手順
手順①:ツボを軽く押して確認
→「ズーン」と響くポイントが適切。
手順②:お灸をセット
→台座灸の底部シールを剥がし、ツボに貼る。
手順③:火をつける
→先端に火をつけ、煙が安定したら深呼吸。
手順④:温かさがじんわり広がるのを感じる
→熱すぎたらやめてOK。無理はしない。
手順⑤:燃え尽きたら外し、軽く押さえる
→手のひらで3秒ほど温めて蓋をするイメージ。
最後に:自分をいたわる「時間」が最大の薬です

更年期の肩こりと動悸は、決してあなたの心が弱いから起きるものではありません。
これまで、仕事に、子育てに、そして家族のために……。あなたは自分でも気づかないうちに、何年も、何十年も走り続けてきたのではないでしょうか。
その「長年の頑張り」によって、今、身体の中に「気血の渋滞」が起き、心臓が必死にメッセージを送っているのです。
「またドキドキしてきた……」と怖くなる前に、今回お伝えした腕のほぐしやツボ押しを試してみてください。
自分の手を当てて身体を労るその時間は、自律神経を落ち着かせ、心臓に「もう大丈夫だよ」と伝える何よりの信号になります。
それでも辛いとき、自分では流しきれない深い滞りがあるときは、ぜひ鍼灸の力を頼ってくださいね。




