【鍼灸師が解説】偏頭痛を和らげるツボ3選|刺激の注意点と押してはいけないツボ

- またあのズキズキが始まるかも…
- 薬に頼るばかりで大丈夫だろうか
- 頭痛のせいで日常生活が思うように送れない
偏頭痛を経験すると、こうした不安や焦りを感じる方は少なくありません。
そんなときに、自宅でできるセルフケアがあると安心です。当院でも、偏頭痛の鍼治療を行う中で、患者さんに自宅でできるツボのセルフケアをお伝えしています。
この記事では、実際に当院が使用している偏頭痛の改善が期待できる代表的なツボ(太衝・合谷・内関)と刺激の注意点、押してはいけなツボを東洋医学の観点からお伝えします。
低気圧頭痛、生理痛の頭痛、吐き気などを伴う偏頭痛でお悩みの方は参考にされてください。
偏頭痛に効くツボ3選と刺激方法

偏頭痛は、頭の血流や神経の興奮状態の乱れ、ストレスや自律神経の不調など、さまざまな要因が関わっています。
東洋医学では、頭部の気血の滞りや、肝・胆・腎といった臓腑のバランスの乱れも大きな原因と考えられます。
自宅で行えるセルフケアとして、鍼灸で使う代表的なツボを知っておくと、症状の緩和や発作予防に役立ちますので是非参考にされてください。
①太衝(たいしょう)
場所:足の甲、親指と人差し指の間を足首に向かって指でたどったくぼみ部分
作用:頭のてっぺんに繋がる肝の経絡を整え、頭部への血流を改善する。ストレスや緊張型の頭痛にも効果的
刺激方法:指で圧を加えて押す、またはお灸で温める
②合谷(ごうこく)
場所:手の甲、親指と人差し指の骨の交わる間のくぼみ
作用:顔や頭部の血流を巡らせる万能ツボ。頭痛、歯痛、目の疲れに効果
刺激方法:軽く押したり円を描くようにマッサージ、お灸もおすすめです
注意点:妊娠中は刺激を避ける
③内関(ないかん)
場所:手首の内側、手首横じわから指3本分上、2本の腱の間
作用:自律神経を整え、吐き気やめまいを伴う偏頭痛の緩和に有効
刺激方法:3秒かけて押す→3秒キープ→3秒かけて離す。左右3回ずつ
注意点:強く押すよりも、リズムよく心地よい圧で刺激する
セルフ灸のやり方(初心者ガイド)
①用意するもの
市販のお灸(台座灸・せんねん灸など初心者向けがおすすめ)
ライター or チャッカマン
灰皿または耐熱皿
タオル、水(熱を感じすぎた時のため)、保冷剤でもOK
②お灸をする前のポイント
施術前に 軽く膝周りをさする(血流が上がり、熱が通りやすくなる)
食後30分は避ける
できれば 毎日同じ時間帯 に行うと効果が出やすい
同じツボに1壮/日までが基本
③お灸の手順
手順①:ツボを軽く押して確認
→「ズーン」と響くポイントが適切。
手順②:お灸をセット
→台座灸の底部シールを剥がし、ツボに貼る。
手順③:火をつける
→先端に火をつけ、煙が安定したら深呼吸。
手順④:温かさがじんわり広がるのを感じる
→熱すぎたらやめてOK。無理はしない。
手順⑤:燃え尽きたら外し、軽く押さえる
→手のひらで3秒ほど温めて蓋をするイメージ。
実は逆効果!偏頭痛で押してはいけないツボと正しいセルフケア

偏頭痛は血管拡張性の頭痛とも言われ、東洋医学的には「肝陽上亢」「風火上擾」「肝火上炎」など、頭部の気血が上昇しやすい強い刺激がさらに気を上げてしまい、痛みが増すと考えます。
そのため、特に天柱・風池など後頭部(首)のツボ押し、頭頂部にある百会の刺激は偏頭痛発作を誘発することがあるので注意が必要です。
天柱・風池の刺激は緊張型頭痛(首肩のコリなど)には相性抜群。
偏頭痛が酷い場合は、今回紹介した3つのツボの刺激がおすすめです。
最後に:偏頭痛は放置せず「早めのケア」を

偏頭痛は「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、再発を繰り返し、次第に発作の頻度や強さが増していくことがあります。
その背景には、
- 脳の過敏性がどんどん高まる
- 自律神経が乱れやすくなる
- 首肩の筋緊張が慢性化する
- 気圧・光・音などの刺激に反応しやすくなる
といった“悪循環”が関わっています。
一度このループに入ると、 「痛みが出る前兆(チカチカ・吐き気・だるさ)」が増える→発作が長引く
→日常生活にも支障が出るといった流れになり、回復までに長い時間がかかることも珍しくありません。
偏頭痛は “我慢して治す” ものではなく、「適切なケアを続けることでコントロールできる症状」 です。
つらい頭痛が続くときは、どうか一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談してください。




