【鍼灸師が解説】吐き気を伴う頭痛、原因は目かも?!眼精疲労に効く手足のツボとセルフケア

鏡に映る自分の目が充血していたり、奥の方がズーンと重かったり。
そんな時、同時にこめかみを突き刺すような頭痛や、胃の底からこみ上げるような吐き気に襲われたことはありませんか?
「最近、仕事が忙しいからかな」と目薬や鎮痛剤で誤魔化しているなら、少し立ち止まってください。

その不調、実は目が限界を迎えたことで起こる「眼精疲労からくる症状」かもしれません。
単なる「目の疲れ(疲れ目)」は睡眠で回復しますが、「眼精疲労」は休んでも取れず、自律神経を介して全身に悪影響を及ぼします。
ピントを合わせ続ける筋肉の過緊張が、首筋を固め、神経を逆なでし、やがて頭痛や吐き気という形で体全体がSOSを発し始めるのです。
今回は、なぜ眼精疲労が頭痛や吐き気を引き起こすのか、そのメカニズムを解き明かすとともに、プロの鍼灸師が臨床で使う「悪循環を断ち切る特効ツボ」をご紹介します。
なぜ「目」の疲れが「頭痛・吐き気」に変わるのか?

目は単体で動いているわけではありません。脳や自律神経と密接に関係しているため、目の不調はドミノ倒しのように全身へ広がります。
① 物理的ルート(頭痛の原因)
ピントを合わせる際、首の付け根にある「後頭下筋群」という小さな筋肉が連動して緊張します。
ここが硬くなると頭部への血流が阻害され、締め付けられるような緊張型頭痛を引き起こします。
② 自律神経ルート(吐き気の原因)
目を酷使すると、常に「戦う神経」である交感神経が優位になります。
すると、反対に「休む神経」である副交感神経が抑制され、胃腸の動きが停滞します。この自律神経の乱れが、脳に「不快感」として伝わり、吐き気を誘発するのです。
③ 東洋医学的ルート
東洋医学では「目は肝の窓」と言われます。怒りやストレス、目の使いすぎは「肝」のエネルギーを昂ぶらせ、熱となって頭へ昇ります(肝陽上亢)。
【保存版】眼精疲労の悪循環を断つ!鍼灸師厳選の特効ツボ3選
① 目の疲れと頭痛を「入口」から解消する『攅竹(さんちく)』
場所:眉頭のすぐ下、目頭の上のくぼみ。
目の周りの筋肉(眼輪筋)の緊張を瞬時に緩め、重だるい「まぶた」をパッと軽くします。
また、膀胱経という足まで繋がる長い経絡の始点でもあるため、ここを刺激することで頭のてっぺんから背中へと抜ける「頭痛の通り道」をスムーズにします。
刺激のコツ:親指をくぼみに当て、頭の重さを預けるように斜め上方向へじわーっと押し上げてください。
② 手の疲れと連動した目を癒やす『三間(さんかん)』
場所:人差し指の付け根にある大きな関節のすぐ下(親指側のくぼみ)。
東洋医学では「手と目は経絡で繋がっている」と考えます。スマホやPC操作で酷使した指先の緊張を解くことで、連動して硬くなった目のピント調節機能をリラックスさせます。
刺激のコツ:反対側の親指で、関節の骨のキワに潜り込ませるように押し揉んでください。指の疲れが抜けると同時に、視界が広がるのを感じるはずです。お灸も効果的。
③ 昇りすぎた熱を引き下ろす『太衝(たいしょう)』
場所:足の甲、親指と人差し指の骨が交わる手前のくぼみ。
「目は肝の窓」と言われ、眼精疲労は肝のエネルギーの昂ぶりを招きます。このツボは、頭に昇りすぎた熱(頭痛やむかつき)を足元へ力強く引き下ろし、目に必要な栄養(血)を巡らせる「気の調整弁」です。
刺激のコツ:左右1日1個お灸がおすすめ。眼精疲労からくるイライラや、吐き気を伴う重だるさに特に効果的です。
ツボ押しとセットで効果倍増!眼精疲労を逃がす3つのセルフケア
① 「髪の生え際」を温めて血流のロックを解除
眼精疲労による頭痛の多くは、後頭部の筋肉が固まり、目への血管を圧迫することで起こります。

蒸しタオルやあずきの温熱ピローなどで、後頭部の髪の生え際(天柱の周辺)を5〜10分ほど温めます。

効果:ここを温めると、目や脳への血流の「ゲート」が開き、酸欠状態だった目が一気にリフレッシュされます。吐き気が強い時は、首元を温めることで自律神経が整いやすくなります。
② 「昼寝15分」で肝と自律神経の機能をリカバリー
東洋医学では、横になって休むことで「血が肝に戻り、目が回復する」と考えます。

午後の仕事の合間などに、15分程度の短い昼寝を取り入れましょう。
効果:15分の休息は、数時間の睡眠に匹敵するほど目の神経を休ませます。脳のオーバーヒート(自律神経)も抑えられるため、午後からの頭痛予防に非常に効果的です。
③「眼球運動」でフリーズした筋肉を再起動
集中して画面を見続けていると、目のピント調節筋肉は「フリーズ」して固まってしまいます。これを物理的に動かしてほぐします。
やり方:顔は正面を向いたまま、目玉だけを「上・下・右・左」と大きく動かし、最後にゆっくりと円を描くように一周させます。これを3セット行います。
眼球を動かす筋肉(外眼筋)をストレッチすることで、滞っていた血流が促進されます。また、ピント調節機能を司る自律神経にも刺激が入り、かすみ目や目の奥の重だるさが緩和されます。
セルフ灸のやり方(眼精疲労)
①用意するもの
市販のお灸(台座灸・せんねん灸など初心者向けがおすすめ)
ライター or チャッカマン
灰皿または耐熱皿
タオル、水(熱を感じすぎた時のため)、保冷剤でもOK
②お灸をする前のポイント
施術前に 軽く膝周りをさする(血流が上がり、熱が通りやすくなる)
食後30分は避ける
できれば 毎日同じ時間帯 に行うと効果が出やすい
同じツボに1壮/日までが基本
③お灸の手順
手順①:ツボを軽く押して確認
→「ズーン」と響くポイントが適切。
手順②:お灸をセット
→台座灸の底部シールを剥がし、ツボに貼る。
手順③:火をつける
→先端に火をつけ、煙が安定したら深呼吸。
手順④:温かさがじんわり広がるのを感じる
→熱すぎたらやめてOK。無理はしない。
手順⑤:燃え尽きたら外し、軽く押さえる
→手のひらで3秒ほど温めて蓋をするイメージ。
最後に:目からのSOSを無視しないで

眼精疲労からくる頭痛や吐き気は、「これ以上目を酷使しないで」という体からの最終警告です。
今回ご紹介したツボ押しやセルフケアは、その場しのぎの鎮痛剤とは違い、自分の体が持つ「血流を促す力」や「自律神経を整える力」を呼び覚ますものです。
特に、ツボ押しとあわせて「後頭部を温める」「眼球運動で筋肉をほぐす」ことを習慣にすれば、悪循環を断ち切る大きな助けとなります。
もし、自分でのケアだけでは追いつかないほど重だるいとき、頭痛や吐き気を伴う眼精疲労ならプロの鍼灸を頼ってください。
手では届かない深部のコリを解き、全身のバランスを整えることで、驚くほど視界が広がり、心まで軽くなるはずです。
クリアな視界と健やかな日常を、一緒に取り戻していきましょう。




