鍼灸治療後に体がだるい・頭痛が出る理由とは?副作用と好転反応の違いを解説

「鍼灸を受けたあと、体がだるい、頭痛がする、熱っぽくなる……」

こんな経験はありませんか?

インターネットで「鍼灸 副作用」と検索する方の多くは、まさにこのような体調の変化に不安を感じている方です。

実は、鍼灸には体の自然な反応として起こる好転反応や、刺激が強すぎた場合に出るオーバードーゼ的な症状があります。

どちらも「副作用」と誤解されやすいのですが、原因や対処法はまったく異なります。

この記事では、

  • 好転反応と副作用の違い
  • 副作用を防ぐために知っておきたい良い鍼灸院の選び方
  • 受けた後に注意すべきポイント(好転反応の対処)

をわかりやすく解説します。

鍼灸の不調に悩む方も、これから初めて受ける方も、読み終える頃には「なぜ体が反応するのか」「どう対処すれば安心か」が理解でき、次の施術に安心して臨めるようになります。

また、副作用を防ぐために知っておきたい良い鍼灸院の選び方(見極め方)もお伝えするので、是非ご覧ください。

好転反応と副作用の違い

鍼灸の施術後に起こる体の変化には、「好転反応」と「副作用」の2種類があります。

この違いを理解しておくことが重要。どちらも体に変化が出る点では似ていますが、その意味合いと対応はまったく異なります。

項目好転反応副作用
意味体が整う過程で起こる一時的な変化治療とは無関係に体に負担や害が出る反応
軽いだるさ、眠気、便通・尿の増加、肩・背中の一時的な重だるさ強い腫れ・出血、数日続く痛み、体調悪化
発生期間数時間〜1〜2日で改善数日以上続く場合や日常生活に支障が出る
原因血流改善や老廃物排出などの正常反応技術や体質に合わない施術、過度の刺激
対処水分補給・安静・自然回復施術者への相談、施術中止や医療機関受診
見極め施術者が体質や反応に合わせて調整施術後の異常が続く場合は危険信号

鍼灸による「だるさ」や「眠気」は、体がリラックスし血流が整う過程で起こる一時的な反応であることが多いです。

一方で、「強い痛み」や「腫れ」「発熱」などが続く場合は、副作用や過剰刺激の可能性もあります。

こうした違いを見極められる経験豊富な鍼灸師を選ぶことが、安心して施術を受けるための大切なポイントです。

副作用を防ぐために知っておきたい “安全な鍼灸院の見極め方”

鍼灸の良し悪しは、同じツボに打っても、刺激量や経絡の見立て、体への向き合い方が違えば、結果もまったく別物です。

ここでは、副作用を防ぎ、安心して受けられる“信頼できる鍼灸院”を見極めるためのポイントを紹介します。

① 施術時間が長すぎない

長時間の施術=丁寧とは限りません。

むしろ、刺激量が多すぎると体がオーバードーゼ(刺激過多)になり、だるさや不調につながることもあります。

「必要な分だけ刺激する」シンプルな施術を心がける院が理想です。

② 問診や検査に時間をかけてくれる

施術前に体質・生活習慣・睡眠・食事・ストレスなどをしっかり聞いてくれるか。

問診を丁寧に行う鍼灸師は、刺激の“さじ加減”を見極める力があります。

逆に、説明もなくすぐ刺すような院は注意が必要です。

③ 脈・お腹・舌の状態を必ず見る

東洋医学では、体の内側の状態を脈診・腹診・舌診など四診で判断します。

この“内観の力”があるかどうかが、良い鍼灸師(鍼灸院)の分かれ道。

単に「痛い場所に鍼を打つ」だけでは、根本改善にはつながりません。

④ 状態をしっかり説明してくれる

自分の体の状態を言葉で説明してくれる鍼灸師は、理論と経験の両方を持っています。

「何となく」「感覚的に」ではなく、根拠をもって説明できる院を選びましょう。

⑤ 鍼数が少なく刺激が優しい

鍼が多ければ良いわけではありません。

必要最小限の本数で最大の効果を出せるのが熟練の証です。

体が敏感な方や初めての方は、優しい刺激を重視する院を選びましょう。

技術面から見た “信頼できる鍼灸院” の特徴

鍼灸は、道具をどう扱うかでも施術の質が大きく変わります。

以下の3つのポイントに注目すると、その院の「技術力」や「東洋医学への理解度」が見えてきます。

① 鍼のタイプを使い分けている

良い鍼灸師(鍼灸院)ほど、鍼の素材や太さを症状に応じて使い分けます。

  • 刺さない鍼(金鍼・銀鍼・銅鍼など)で微細な刺激を与える
  • ステンレス鍼で筋肉や経絡へアプローチを行う
  • 鍼の手技を変えて刺激量を調整している

といったように、患者の体質や反応を見ながら“最適な刺激量”を選びます。

とくに金銀などの刺さない鍼を扱える鍼灸師は、東洋医学の伝統的な補瀉(ほしゃ)理論を理解していることが多く、繊細な施術が期待できます。

② お灸を既製品ではなく “自ら捻っている”

お灸には、市販の貼るタイプや台座付きタイプなどもありますが、昔ながらの「手で捻る艾灸」を使いこなす鍼灸師は、体の状態を“熱の伝わり方”で感じ取ることができます。

もぐさの温度・大きさ・燃焼スピードを調整しながら、ツボや体質に合わせて温度を変える。

この“手の感覚”は、経験を積まなければ身につきません。

体への優しさと効果の深さの両立ができる、伝統的な技法です。

③ 小児鍼を行っている

意外と見落とされがちですが、小児鍼(しょうにはり)を扱えるかどうかも重要なポイント。

子どもは大人より敏感なため、わずかな刺激でも体が反応します。

そのため、小児鍼ができる鍼灸師は「刺激量を正確に見極める力」を持っています。

また、小児鍼は“刺さない鍼”を使って皮膚をさするように行うため、この技術を身につけている=体に負担の少ない施術を理解している証でもあります。

鍼灸を受けた後に注意すべきポイント

〜好転反応が出たときの安心な対処法〜

先ほどもお伝えしたように、鍼灸を受けたあと、「少し体がだるい」「眠気が強い」「古い痛みが一時的に出てきた」といった好転反応が出ることがあります。

鍼やお灸によって血流や自律神経の働きが整いはじめると、体の中で“滞っていたもの”が一時的に動き出します。

その過程で体が反応し、一時的に症状が強く感じられたり、眠気・だるさとして現れることがあるのです。

好転反応が出たときの対処法

状況対応のポイント
体がだるい・眠い無理せず休息をとりましょう。水分を多めに摂るのも◎
痛みが少し強くなったお風呂は軽めに、運動は控える。1〜2日で落ち着くことが多いです。
眠気やボーッとする感じ

副交感神経優位のサイン。アルコール控えめ、できれば当日は早めに就寝を。

感情が不安定になる体と心のデトックス反応。深呼吸してリラックスを心がけましょう。

大切なのは、「体が変化している途中」だと理解して焦らないこと。

ほとんどの好転反応は1〜3日で自然に落ち着きます。

ただし、強い痛み・発熱・腫れなどが長引く場合は、鍼灸師に相談してください。

施術後の対応もきちんとしている院は親身になってくれます。

外的要因によって体調が揺らぐこともある

鍼灸を受けたあとに体調の変化を感じる場合、外的な要因(環境や気象条件など)が関係していることも少なくありません。

外的要因とは、以下のような自然や環境の変化を指します。

外的要因具体例
気圧の変化台風・低気圧・急な天候の崩れ
月の満ち欠け満月や新月が重なる時期
気温差寒暖差が大きい季節の変わり目
季節変動春・秋など環境が変わる時期
強いストレス職場・人間関係・緊張など

また、月経の前後も体調が変化しやすい時期です。

これは女性特有の「内的要因」ですが、ホルモンバランスが一時的に乱れることで、自律神経や血流に影響が出るため、鍼灸の反応が強く出ることがあります。

このように、自然界の変化・ストレス・ホルモンの揺らぎが施術日に重なると、一時的に血管や自律神経の反応が強くなり、だるさ・頭重感・眠気などの症状が出ることも。

しかし、これはあなたの体が悪いのではなく、外部環境が一時的に体のバランスを揺らしているだけ”です。

無理せず、温かい飲み物や深呼吸で自律神経を落ち着かせ、静かな時間を過ごすことで自然と整っていきます。